[ コンセプト ]
 ヴァイオリンは、弦を弓で振動させることで発音をし豊かな音色を響かせる。豊かな音色を表現するため、我々は弓を使ったボーイングだけでなく、指を使ったピッチカートなど様々な演奏方法を駆使する。
 しかしながら、ヴァイオリンの豊な音色を生み出しているのは、実はその美しい「ボディ」である。我々が行う様々な演奏方法で起こした「音」を豊かに増幅し、音色と音量を生み出している。
 その「ボディ」が生み出す「音色と音量」を感じることはできないだろうか。

[ 作品の内容 ]
 本作品では、ヴァイオリンの弦を直接弾くのではなく、共振させることで弦を振動させ発音させています。そのため共振させるための振動を、ヴァイオリンに取り付けた振動スピーカからsin波を用いて出力しています。このsin波によって、弦が振動し音が生成されボディに伝わり増幅されることで豊かな「音色と音量」が生み出され、我々の耳に届きます。
 この作品から聴こえる音には豊かな残響があり、音色もあるように聴こえます。しかし、その元となるsin波は、残響や倍音特性を持っていないため音色を持っていません。私達の耳に届く豊かな残響は、ヴァイオリンのボディが創りだしたものなのです。ヴァイオリンの楽器として完成された形が生み出す「音」を再認識する作品です。

[ 素 材 ]
ヴァイオリン、振動スピーカ、sin波